ChatGPTって、そもそもナニ? 応用編「長文の要約」

はじめに

大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)の応用例として有名なChatGPTは手軽に使うことができますが、ではどのように使えば効果的なのでしょうか?その答えのひとつとして「長文の要約」があります。ChatGPTは長文の要約が得意なのです。(人間ではないので「得意」という言葉が適切かどうかわかりませんが・・・)

例えば技術解説文書は内容が複雑であり長文になることが多いのが一般的ですが、このような文書をChatGPTに依頼すればわかりやすく整理してくれますので大変便利です。

サンプルの文例

 次の例文は「電子負荷を使うときに気にしなければならないこと」をまとめたものですが、技術解説的な内容となっており詳しくない読者にとっては難解な長文と言えるかも知れません。ひとまず、ご一読ください。

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電子負荷装置は接続するだけで任意の電流あるいは電力を引いてくれる便利な計測器です。しかし電子負荷の性能を発揮させるために利用上で気にしたい事が幾つかあります。

電子負荷装置は何らかの電源につないで始めて用をなします。しかし意外とこのつなぐ事に関心が払われていない事が多く、電子負荷装置の性能を上手く使えていない場合が有ります。

電流を導体に流すと、流す量とその経路の抵抗に比例した電圧が両端で降下します。これはオームの法則として誰もが知っているところです。しかし電子負荷装置を使用する際、電子負荷装置と電源の間の配線抵抗がどの位あり、具体的にどの程度電圧が下がるのか知らないで使用されている事が多いのでは無いでしょうか?

配線経路上での抵抗は主に配線線材自身の抵抗、端子台などでの接触抵抗の2つで構成されます。線材自身の抵抗はどの程度でしょうか?例えば線材の径が、AWG(American Wire Gauge)で言うところ12AWG(直径約1mm)の線材であればその直流抵抗は長さ1mあたり0.005Ω(5mΩ)程度となります。直流抵抗はほぼその線材の断面積に反比例しますのでおおよそ断面積がAWG12の半分のAWG15であれば直流抵抗は倍の1mあたり0.01Ωにも達します。

これに対し接触抵抗は多くの場合、一桁以上高い抵抗値になります。例えば多くの端子台は仕様上で数十mΩ(以下)の接触抵抗を明記しています。更に圧着端子などを使えば端子と線材間でも接触抵抗が発生します。

もし15AWGの線材1mを両端圧着端子を用いて端子台に繋ぐ方法で配線した場合には合計で最悪数十m~100mΩ近い配線上の抵抗が電子負荷装置と電源の間に挿入される事になります。この様な大きな抵抗ですと10Aも電流を流すと0.数V~1V近い電圧降下が発生する事になります。

しかし電源の出力電圧は電源の出力端で測るし、電子負荷装置の端子でたとえ1V程度降下してもたいして問題無いのでは?と思われるかもしれませんが必ずしもそうでは有りません。

例えばフの字垂下形式の過電流保護回路の動作試験などを行う場合、負荷電流を上げていくに従い出力電圧が下がります。電子負荷装置の端子での電位差は保護による出力電圧の低下に電圧降下分の低下が重なり更に小さくなります(もちろん出力電流も制限されるため電圧降下も小さくなりますが)。問題は電子負荷装置の引ける電流は負荷装置の端子間の電位差に依存すると言うことです。

低くなった端子間の電位差に対し十分な電流を引く事が出来ない場合は均衡点で停止し引ききる事が出来ないか、当社の電子負荷の様に限りなく0V付近まで電圧に比例した電流を引く事が出来ないタイプの電子負荷装置の場合は一定以下に電圧が下がった時点で負荷が開放(OFF)される事になります。負荷が無くなると電源は出力を復帰しますが、端子間電圧が戻った時点でまた負荷が印加(ON)される事になります。あとはこれを延々繰り返し、いわゆるハンチング状態になります。

この様に限界付近で使用する場合は僅かな配線経路の抵抗も問題になる場合が有ります。十分に電子負荷装置の性能を使い切るには、配線経路の抵抗も気にしたいものです。

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 いかがでしょうか?最初から専門的な知識を持っていれば別ですが、一読して内容を理解するのは難しいかも知れませんね。このようなとき、ChatGPTに「要約」を依頼すればシンプルでわかりやすい文章にまとめてくれます。

ChatGPTへの依頼

ChatGPTへの依頼方法には若干の「慣れ」が必要です。依頼文の内容によってChatGPTからの回答も変わってくるからです。今回の場合は「シンプルでわかりやすく」ということが重要ですので以下のような依頼をしてみました。

「次の文章をわかりやすく箇条書きにまとめてください」

 実際に依頼するときは、依頼文の直後に「空白」を1文字あけて要約して欲しい文章を貼り付けます。ChatGPTからは次のような回答がきました。

  • 電子負荷装置は接続するだけで電流や電力を制御できる便利な装置ですが、性能を最大限に活用するために注意が必要です。
  • 電子負荷装置は電源に接続して初めて動作しますが、接続に関する注意が十分に払われないことが多く、その結果、性能を最大限に引き出せないことがあります。
  • 電流を導体に流すと、抵抗によって電圧が降下します。この現象はオームの法則として知られています。
  • 電子負荷装置を使用する際、電子負荷装置と電源の間の配線抵抗について正確に理解していないことが一般的です。
  • 配線経路上の抵抗は、主に配線線材自体の抵抗と端子台などでの接触抵抗の2つで構成されます。
  • 線材の直流抵抗は、線材の径に依存し、直流抵抗は線材の断面積に反比例します。
  • 接触抵抗は通常、抵抗値が高く、端子台などで数十mΩ以下の接触抵抗が一般的です。
  • 配線抵抗が大きい場合、電子負荷装置と電源の間に電圧降下が生じ、性能に影響を及ぼす可能性があります。
  • 特に高電流を扱う場合、抵抗に対する注意が重要であり、適切な線材と接続方法を選択する必要があります。
  • 特定の試験やアプリケーションでは、電子負荷装置の性能を最大限に活用するために、配線経路の抵抗についても注意が必要です。

 いかがでしょうか。箇条書きに整理されて読みやすくなりましたね。これをうまく使えば役に立ちそうですが、効果的に利用するためにはいくつかの注意点があります。

・原文の内容に間違いが有ったとしても、間違いは間違いのまま要約されてしまう。

・ChatGPTの生成文自体にも間違いが含まれている可能性もあります。

・回答内容に満足できなかったときは何回でも依頼することができます。

・依頼者が回答内容をチェックするのは必須です。

 以上については、人間に依頼するときも同様に言えることですが、人間と違うのは「何回依頼しても文句を言わずにやってくれる」ということかも知れません。仕事の「丸投げ」は出来ませんが、効果的に利用すれば頼りになるアシスタントになるかも知れません。

関連ページ

ChatGPTって、そもそもナニ? https://www.keisoku.co.jp/pw/u-po/20230615-01/

ChatGPTの活用あれこれ https://www.keisoku.co.jp/pw/u-po/20230615-02/