系統連系って、そもそもナニ?

系統連携とは?

「系統」を辞書で調べると「一定の順序や原理によって並んでいる、統一のあるつながり」のように記載されていますが、これだけではよくわかりませんね。系統連系で言うところの系統は「電力系統」を指しており、英語では “Electrical grid” と表記されます。一般家庭や工場などに電力を供給するための発電・変電・送電などの設備の総称として電力系統と呼びます。
以上から、系統連系は「電力系統連系」ということになりますが、日常生活で連系という単語を見かけることはほとんど無いと思います。一般的には「連携」あるいは「連係」と表記されることがほとんどではないでしょうか。これらを整理すると以下のようになります。

連携同じ目的の者がお互いに連絡をとって協力し合いながら物事にあたること
連係いくつかの物事が互いに密接な関係をもつこと。つながる・つなぐこと
(系統)連系電力系統を電力会社の系統に接続すること。系統連系工事を実施し、電力会社と契約することによって太陽光発電等による電力を電力会社に「売電」することも可能となる。

以上からすると「系統連係」でも良いような気がしますが、電力については明確に区別して「連系」と表記しますので間違わないようにしましょう。

ノートPCの場合

話を簡単にするためにノートPCを例として考えてみましょう。

ノートPCはACコンセントの無い場所でも使えるのがメリットですが、ここではオフィスなどACコンセントがある場所での使用を考えてみます。ACコンセントがありますのでACアダプタは接続した状態で使っているとしましょう。

使用中にACアダプタをコンセントから抜いてしまったらどうなるでしょうか?ACアダプタで使用しているのですからACアダプタからの電源が落ちたらノートPCの電源もOFFしそうなものですが、実際はそうではなく(バッテリーに残量が十分有れば)ノートPCを使い続けることができます。
これはノートPCの中で電源の供給元をACアダプタからバッテリーに瞬時に切り替えているためですが、この動きが系統連系に(ほんの少し)似ています。ACアダプタを系統と考えると、バッテリーは太陽光発電装置になるでしょうか。なお、実際の系統連系では太陽光発電の電力を系統側に送る「逆潮流」が発生することもあります。

太陽光発電装置の場合

最近では一般家庭の屋根に太陽光パネルが設置してあるのを見かけることが多いですね。太陽光パネルで発電されるのは直流であり、そのままでは使えないため直流から交流に変換する必要があります。このときに活躍するのが「パワーコンディショナ」と呼ばれる装置です。

パワーコンディショナ(パワコン、PCSとも呼ばれています)の内部には、インバータと系統連系保護装置が組み込まれており、以下のような役割を担っています。

機能役割
インバータ太陽電池パネルにより発電された直流を交流に変換する
天候の影響により一定ではない太陽電池パネルの発電出力をMPPT(最大電力点追従)機能により効率良く取り込む
余剰電力を逆潮流(発電所系統側に送電)するときの制御を行う
系統連系保護装置主に以下のような系統の異常を監視して保護する ・周波数の上昇や低下 ・電圧の上昇(過電圧)や低下 ・停電の検出

系統連系を行うには?

太陽光発電装置で発電された電力を全て消費する場合、(言葉を変えると家庭内で消費する電力を太陽光発電で全て賄えないとき)当然ながら電力会社への売電は出来ませんが、太陽光発電装置により発電した電力が余ったとき、余剰電力として電力会社に「売電」することができます。ただし、そのためにはパワーコンディショナ以外に売電電力計などの周辺機器を設置し、電力会社と契約することが必要です。従来のように電力を買う場合は「電力需給契約」ですが、電力を売る場合は区別するために「系統連系契約」と呼ぶことがあります。

関連ページ

インバータって、そもそもナニ? https://www.keisoku.co.jp/pw/u-po/365_inv/
系統連系とその条件 https://www.keisoku.co.jp/pw/techon/techon-09-07/
回生型電源 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/ene-phant/
回生型電子負荷 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/ac-load/ene-phant-acload/