直流電子負荷の仕様書の見方って、そもそもナニ?

直流電子負荷の仕様書ついて誰にでもわかりやすく解説

仕様書って、そもそもナニ?

 仕様書をひとことで言えば・・・

「その製品が持つ機能や性能、外観などを図表などでまとめたもの」

 と言うことができます。英語の Specification を略して「スペック」と呼ばれることもあり、カタログに記載されている仕様書は「カタログスペック」と呼ばれます。

 このような仕様書は、製品の購入を検討するときの「よりどころ」となるものであり、特にデモ機など実際の製品で確認できないときは仕様書の記載内容で判断することになりますので、重要な文書です。

 特注品の受託開発の場合、要求仕様書をはじめとして様々な仕様書が必要となりますが、本稿では直流電子負荷のカタログやWebページに記載されている一般的な仕様書を対象としています。

直流電子負荷仕様書の項目

 本稿では当社製直流電子負荷 Load Stationシリーズの仕様書をサンプルとし、その主な項目についてご説明させていただきます。

項目概要
負荷部定格電圧・電流・電力 
負荷モードCC定電流
CR定抵抗
CV定電圧
CP定電力
EXT外部制御
SHORT短絡
動作モードNormalノーマルモード
Dynamic負荷急変
Sequenceシーケンスモード(データはPCから転送)
Sweep電流変動とグラフ化
自動切換え開始 → 終了 
測定直流電圧測定測定範囲H/Lの2レンジにより測定
分解能測定可能な最小のきざみ幅(レンジ毎に異なる)
測定確度設定した値からの誤差、設定の確かさ、精度
直流電流測定測定範囲H/M/Lの3レンジにより測定
分解能測定可能な最小のきざみ幅(レンジ毎に異なる)
測定確度設定した値からの誤差、設定の確かさ、精度
電力測定 計算値(電圧測定結果×電流測定結果)
リップルノイズ測定 工場出荷時オプションRC-02Aにより測定
その他リミット機能電流・電力設定値で負荷OFFまたは電流制限
センシング リモートセンスの方法選択
並列運転 マルチch同期運転 マスター・スレーブ連携による並列運転 複数の電子負荷を連携して同期運転
インターフェース オプションを含む内蔵可能なインターフェース
DIDO デジタルI/Oインターフェース
保護・アラーム機能過電流保護電流が規定値を超えたときに負荷OFFまたは制限
過電力保護電力が規定値を超えたときに負荷OFFまたは制限
過熱保護内部温度が規定値を超えたときに負荷OFF
過電圧アラーム電圧が規定値を超えたときに負荷OFF
逆接続アラーム逆電圧が印加されたときに負荷OFF
トリガ出力 ダイナミックモード時のオシロ用トリガ出力
電流モニタ 電流波形観測用モニタ出力
電源入力 供給用電源の仕様
動作環境 高度・動作温度・保管温度など
外形・質量 負荷端子形状 突起物を除く外形寸法と重さ 負荷端子(フロント・リア)の適合端子
オプション 工場出荷時オプション及び通常オプション

負荷部定格

 電子負荷入力端子に印加できる最大電圧、設定可能な最大電流、消費可能な最大電力を規定します。また、Load Stationシリーズには最小動作電圧という概念はありません。そのかわりに、定格電流を流せる最小電圧として規定しており、LN-300Aの場合は以下のようになります。

定格電流(60A)を流せる最小電圧: 1V

 一般的な最小動作電圧の制限がある電子負荷の場合、その電圧よりも低くなると電流は流れなくなります。これに対してLoad Stationシリーズではそのようなことは無く、流せる電流は直線的に低下しますが、グラフのように0V付近まで電流を流すことが可能です。

負荷モード

 Load Stationシリーズは6種類の負荷モードを装備しており、次のような特徴があります。

負荷モード特徴
CC(定電流)負荷端子電圧が変化しても一定の電流を流します
CR(定抵抗)負荷端子電圧に比例した電流を流します
CV(定電圧)負荷端子電圧が一定になるように電流を流します
CP(定電力)負荷で消費される電力が一定になるように電流を流します
EXT(外部制御)外部制御入力の電圧(0 ~ 10V)に比例した電流を流します
SHORT(短絡)電子負荷で流せる最大電流を流します

これらのモードはリモートセンス入力の接続が必要です。(接続しなくても使えますが、設定誤差が大きくなります。)

動作モード

 前項の負荷モードに加えて以下の3種類の動作モードを装備しています。

 CCCRCVCP備考
ダイナミック負荷電流を高速に変動します。
シーケンス事前にプログラムされたパターンの電流を流します(※)
スイープスイッチング電源のOCP(過電流保護)特性などを電子負荷単体で試験することができ、特性のグラフ化も可能です。

電子負荷本体に電流パターンを作成する機能は持っていないため、PCで作成したパターンを電子負荷に転送する必要があります。

自動切換え

 条件によって負荷モードを自動的に切り替える機能です。開始負荷モードから次のように切り替えることができます。

開始負荷モードCCCRCVCP 
切り替えモードOFF条件が成立すると負荷がOFFになります
CR条件が成立するとCRモードに切り替わります
CV条件が成立するとCVモードに切り替わります
CP条件が成立するとCPモードに切り替わります

電流設定範囲

 電流設定範囲は各レンジごとに規定されており、レンジの数は負荷モードによって異なり以下のようになっています。

レンジCCCRCVCP備考
H (High) 
M (Middle) 
L (Low) 

電流設定分解能

 設定可能な最小のきざみ幅であり、これよりも細かく設定しても切り捨てられますので注意が必要です。例えば、設定分解能が5mAのときに102mAを設定したとしても実際に設定されるのは100mAとなります。また、設定分解能は各レンジごとに異なりますのでご注意ください。

※一般的に操作パネルを使って設定分解能未満の値を入力することはできませんが、PCからのリモート制御で最小分解能未満の値を送ることができる場合があります。

電流設定確度

 設定した値に対しての誤差範囲をプラスマイナス形式で表します。Load StationシリーズのCCモードHレンジの仕様では、

±(0.2% of set. + 25mA + Vin / 50kΩ)

となっていますが、これだけだとわかりにくいですね。これは設定値 (set.) に対してのばらつきを表していますので、プラス側とマイナス側に分割してみましょう。

プラス側: 設定値の0.2% + 25mA + Vin / 50kΩ

マイナス側: -(設定値の0.2% +25mA + Vin / 50kΩ)

 ここで、Vinは負荷端子に印加される電圧を意味しており、これが仮に5Vだとすると

Vin / 50kΩ → 5V / 50kΩ → 5/50000 → 0.0001

となり、電流値としては 0.1mA という小さいものとなります。以上からまとめると

プラス側: 設定値の0.2% + 25.1mA

マイナス側: -(設定値の0.2% + 25.1mA)

 ここで設定値が仮に10Aだとすれば、10Aの0.2%は20mAですので

プラス側: 20mA + 25.1mA = 45.1mA

マイナス側: -(20mA + 25.1mA) = -45.1mA

 以上から、10.0Aを設定したときのばらつきは 10.0±45.1mA(9.9549A ~ 10.0451A)となる訳です。複雑に感じるかも知れませんが、プラス側とマイナス側は符号が異なるだけですので他のモードでも計算してみてください。

スルーレート

 スルーレートはCCモード時の電流立ち上り(立ち下り)速度を表す指標であり、自動車の加速度と似ています。一言で言えば「1μ秒の時間にどのくらいの電流を流せるか」ということであり、仕様書には10A/μsのように記載されます。なお、スルーレートはレンジによって異なりますのでご注意ください。

直流電圧測定 / 直流電流測定

 測定範囲はレンジによって異なり、電圧測定は2レンジ(H/L)、電流測定は3レンジ(H/M/L)となっています。測定分解能もレンジによって異なりますのでご注意ください。

 測定確度は設定確度と似ていますが、若干異なります。例えば、直流電流測定Lレンジの測定確度は

±(0.2% of rdg. + 0.5% of F.S.)

 となっており、rdg.は「読み値」、F.S.はフルスケール(レンジ内の最大値)を表しますが、あとは設定確度の計算手順と同じです。

電力測定

 電力測定は、以下の計算式によって算出されます。

電力測定値 = 電圧測定結果 × 電流測定結果

リップルノイズ測定

 リップルノイズ測定は、工場出荷時オプションのRC-02Aが実装されているときのみ測定可能です。測定分解能や測定確度の考え方は電圧・電流測定と同様です。

関連ページ

Load Stationシリーズ https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/dc-load/load_station-2-2/

直流電子負荷のお役立ち情報 https://www.keisoku.co.jp/pw/support/oyakudachi/dc-load/