【やさしい技術解説】交流電源装置を使うときに気にしたい事その3 – その入力、力率改善されてますか?

前回のピーク電流の話は、交流電源の出力側の仕様についての物ですが、交流電源自身もなんらかの交流入力を得て動作する訳ですから実は入力側でもこのピーク電流の事を気にしなければなりません。構内系統に繋がる事を考えれば、場合に因っては入力側の問題の方が深刻です。

構内系統ラインのインピーダンスは通常使用するには十分低い物ですがしかし0では有りません。著しくピークが突出した電流が流れるとその系統全体の電圧が歪みます。この歪みはそこに繋がる他の機器が動作障害を引き起こしかねない事から高調波規制が行われています。

しかし最近ではこの歪みによる動作障害以上に問題視されているのが、入力電流の歪みの大きな機器は電力の有効利用率が低くなると言う問題です。このためピーク電流が大きな機器は本来必要な電力以上の電力を供給してやる必要が生じます。

ピークが突出した電流には電圧の基本周波数(50,60Hz)より高い周波数の電流が含まれて居ます。この電流は当然基本周波数とはその位相(山谷)が一致する事は有りませんので、有効に利用出来る電力が、見かけ上消費している電力より小さくなります。

一般にこの有効な電力と見かけ上の電力(皮相電力と言います)の乖離具合を「力率」と言う指標で表します。電圧と電流の波形の位相(山谷)が完全一致した状態を力率1.0として完全な逆位相になると0になります。

実は電力会社では電力の利用状況を力率で判定し、これを基本料金反映する仕組みを持っています。力率 85%を境に力率がこれを下回ると基本料期がその%分割増されます。例えば力率0.8=80%なら85-80=5%の割増料金を請求され、力率0.9=90%なら85-90=-5%の割引が受けられます。

力率を改善するにはその改善対策が施された機器を選んで利用する必要があります。実は交流電源でも大抵の場合、入力について力率改善がされているか否かが記載されています。

特に大電力の交流電源をお使い頂く為には、こうした事も気にして選択して頂きたいと思います。

電源、電子負荷のことなら計測技術研究所

直流/交流の電子負荷装置、電源や耐電圧試験器、電源の検査システムなどの製品や技術に関するご相談やお問合せをお待ちしております。