【やさしい技術解説】電子負荷を使うときに気にしたいこと その5 – 同じ負荷でも負荷モードにより確度は変わる

電子負荷装置は設定一つで正確な負荷を実現する便利な機器ですが、現実世界に存在する機器で有る以上他の計測器と同様に誤差が付きまといます。

電子負荷装置特有の誤差と言えば、当然ながら設定した負荷に対する実際の負荷との差異の事となります。一般にこの差異の程度を負荷設定の確からしさと言うことから、「負荷設定確度」又は単に「設定確度」と呼ばれる指標で表します。

「設定確度」の表し方は各メーカーにより異なります。例えば当社であれば以下の様に表しています。

  ±0.2% of stg. ±15mA         ELL-355(定電流モード – 15Aレンジ)
  ±0.5% of Conv. Curr. ±0.2% of f.s.  ELL-355(定抵抗モード – 全レンジ)

これは、設定値の0.2%分の誤差と最大15mAの固定誤差の合計分、設定値がずれる可能性がある事を表しています。例えば定電流モードで1Aを設定すると最悪の場合、以下の様に17mAの誤差が発生する可能性があると言う事を表しています。

  1A × 0.002 + 0.015 = 0.017 (17mA)

では同じ負荷を、負荷モードを変えて設定すると結果は同じになるのでしょうか?

定抵抗モードで電源電圧5Vの時にやはり1Aの電流を期待して5オームを設定したとするとどうでしょうか?

  (5V ÷ 5オーム) × 0.005 + 15A(15Aレンジの場合) × 0.2% = 0.005 + 0.030 = 0.035 (35mA)

となり、同じ1Aの負荷で有ってもモードにより最終的な確度が、倍も異なる事が解ります。

定抵抗負荷モードは定電流モードと比較すると負荷電流制御に加え、外部の電圧をセンスしこれを制御系に加える事が必要になる都合上、誤差要因がどうしても増える事になり設定確度が定電流モードに比較し出にくいと言う性質を持っています。

この様に「設定確度」は負荷モードによっても異なります。漠然と同じ負荷量だからどのモードでも構わない、と言う訳には行きません。目的沿った最適な負荷モードを選択し、最良の条件で御利用下さい。

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