交流電源:リニア方式とPWM方式の違いとは?

はじめに
電気製品の電源には、大きく分けて「リニア方式」と「PWM(スイッチング)方式」という2つの方式があります。この2つは、電圧を変換する仕組みが根本的に異なります。今回は、これらの違いを初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
そもそもなぜ電圧を変換する必要があるの?
家庭用コンセントから供給される電気は100V(日本の場合)ですが、スマートフォンの充電には5V、ノートパソコンには19Vなど、機器によって必要な電圧が異なります。そのため、適切な電圧に変換する「電源回路」が必要になるのです。
リニア方式:アナログ時代の定番
仕組み
リニア方式は、トランジスタを可変抵抗器のように使う方法です。水道の蛇口を想像してください。蛇口を少し開けば水量が減り、大きく開けば水量が増えますよね。リニア方式も同じように、電気の流れを連続的に調整して電圧を下げます。
メリット
- ノイズが少ない:電気の流れが滑らかなので、電気的なノイズがほとんど発生しません
- 回路がシンプル:部品点数が少なく、設計が比較的簡単です
- 高速応答:負荷の変化に素早く対応できます
デメリット
- 効率が悪い:余分な電圧を熱として捨ててしまうため、エネルギー効率が50〜60%程度と低めです
- 発熱が大きい:効率が悪い分、大きな放熱器(ヒートシンク)が必要になります
- 重くて大きい:トランスも大きく重いものが必要です
使われる場面
- オーディオアンプ(音質重視)
- 精密測定機器
- アナログ回路の実験用電源
PWM(スイッチング)方式:現在の主流
仕組み
PWM方式は、スイッチを高速でON/OFFすることで電圧を調整します。蛍光灯をものすごく速く点滅させると、目には暗く光っているように見えますよね。それと同じ原理です。
「PWM」は「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の略で、ONの時間とOFFの時間の比率を変えることで、平均的な電圧を調整します。
例えば:
- ON 50%、OFF 50% → 平均電圧は50%
- ON 80%、OFF 20% → 平均電圧は80%
このスイッチングは、1秒間に数万回〜数十万回という超高速で行われます。
メリット
- 効率が良い:理想的には90〜95%の効率が得られます
- 小型・軽量:高周波で動作するため、トランスや部品を小さくできます
- 発熱が少ない:効率が良いので、無駄な熱があまり出ません
- 広い入力範囲:100Vでも240Vでも対応できる製品が作りやすい
デメリット
- ノイズが多い:高速スイッチングにより、電気的ノイズが発生します
- 回路が複雑:設計に専門知識が必要です
- コストがやや高め:制御用ICなど、高度な部品が必要です
使われる場面
- スマートフォンの充電器
- ノートパソコンのACアダプター
- LED照明
- 省エネ家電のほとんど
合わせて読みたい
どちらが優れている?
用途によって使い分けが大切です。
現代では、省エネ性能と小型化のメリットから、PWM方式が圧倒的に主流です。私たちが日常的に使う充電器やACアダプターのほぼすべてがPWM方式です。
一方で、ノイズに敏感な用途では、今でもリニア方式が選ばれます。高級オーディオ機器や精密測定器などでは、音質や測定精度を優先してリニア方式が使われ続けています。
まとめ:身近な例で覚えよう
- リニア方式:水道の蛇口のように流れを絞る → 単純だけど無駄が多い
- PWM方式:高速で蛇口を開け閉めする → 複雑だけど効率的
身の回りの電源を見てみてください。軽くてコンパクトなACアダプターはPWM方式、ずっしり重い電源装置はリニア方式の可能性が高いですよ。
技術の進歩により、私たちは小型で高効率な電源の恩恵を受けています。その裏側には、こうした巧妙な電圧変換技術があるのです。
関連情報
6700シリーズ
プログラマブルリニア交流電源
6700シリーズは、出力波形品質の良いリニアアンプ方式の交流電源です。パワーメータに匹敵する高分解能測定(0.1mA / 0.01W)に対応します(オプション)。
【リニア方式】単相500VA~5kVA
8500 STD/ADVシリーズ
薄型・多機能交流電源
研究開発、製造、検査など様々な用途に合わせて搭載機能のバリエーションが違う2つのモデル(STD/ADV)を用意した、薄型・多機能交流電源です。
3kVAまでは2U、6kVAは4Uと業界最軽量・コンパクトサイズを実現しました。
【スイッチング方式】単相500VA~6kVA




