リップルノイズ測定:オシロスコープとリップルノイズメータの違いとは?

はじめに

電子機器の電源出力は「直流が理想」ですが、実際には微小な揺れや高周波のノイズが重なった「リップルノイズ」が必ず存在します。このリップルノイズの大きさや成分を正しく測ることは、製品の安定性・信頼性を左右する重要な工程です。本稿では、よく使われるオシロスコープ測定と、専用器「リップルノイズメータ」の測定の違いを、初心者にもわかりやすく整理します。

そもそもリップルノイズとは?

  • 直流出力に重なる「不要な交流成分」の総称で、周波数の低い商用周波数由来のリップル(50/60Hz)から、スイッチング回路で生じる高周波ノイズまでが混ざったものです。
  • 実機では、この混ざり合った波形から「どの成分がどれくらいあるか」を見分けるのがポイントになります。

測定に使う二つのアプローチ

  1. オシロスコープで測る

    できること:時間波形の可視化、ピーク・ピーク値やRMS(実効値)の算出、周波数解析(FFT)など。セッティング次第で幅広い電源ノイズを評価できます。

    注意点:測定系そのものの「ノイズ床(測定器の雑音)」やプローブの取り回しで値が簡単に変わります。帯域制限(Bandwidth Limit)、1:1プローブや低ノイズのパワーレールプローブの選択、短いグランド、50Ω終端やAC結合の使い分けなどの基本が精度を左右します。
  1. リップルノイズメータで測る(RM-104)

    できること:複雑なリップルノイズ波形から、あらかじめ定義された「5種類の電圧成分」を抽出し、デジタル値で表示します。誰が測っても同じ基準で読み取れるよう設計されています。

    例:A=リップルノイズ(総合)、B=リップル、C=スイッチングノイズ、D=スイッチングリップル、E=ACリップル(50/60Hz)など。

    特徴:差動プローブが標準付属、DC 6V/60V/500Vレンジ、オプションでLAN接続、ワンタッチ操作など。現場で「見て判断」ではなく「数値で合否」を出したい用途に向いています。
 オシロスコープ
リップルノイズメータ
特徴波形そのものを観察し、原因探索や詳細解析に強い。定義済みの指標を短時間に「数値化」するのに強い。作業標準化・合否判定に向く。
難易度プローブ選択や配線、帯域設定で結果が変わりやすい。慣れが必要。操作が簡単で測定者の個人差が出にくい。
測定結果波形・統計・スペクトルなど多様。自由度が高い反面、読み取りに経験が要る。決められた5種類の値をデジタル表示。基準と比較しやすい。
適した用途研究・開発での試作品評価など量産ライン、受け入れ検査、現場の保守点検など

両方あれば最強な理由

リップルノイズメータで「数値の事実」を素早く確定し、オシロスコープで「原因の可視化」を行う——この二段構えが、開発から量産・保守まで一貫して強い体制になります。

まとめ

  • オシロスコープは「見て理解(分析)する道具」、リップルノイズメータは「数値で管理する道具」。用途に合わせて使い分けましょう。
  • 設計段階ではオシロの基本セッティングを身につけ、量産や点検ではリップルノイズメータで標準化された指標を短時間に測る——これが失敗しない測定フローです。

関連情報

リップルノイズメータ
リップルノイズメータ

スイッチング電源の出力の複雑なリップノイズ波形から、選択した電圧のみを抽出してデジタル表示出来る、世界で唯一のリップルノイズメータです。検査の定量化やスイッチング電源の需要交換メンテナンスの指標などにもご活用頂けます。