スイッチング電源って、そもそもナニ?

スイッチング電源とは、スイッチング素子を高速でON/OFFすることで電力変換を行う電源方式です。

従来のリニア方式の電源と比べて、高効率で小型・軽量化しやすいという特長があり、現在ではパソコンやスマートフォンのACアダプタなど、さまざまな電子機器で広く使用されています。

ここでは、スイッチング電源の基本的な仕組みについて簡単に説明します。

整流回路の基本(半波整流回路)

交流電源を電子機器で使用するためには、まず交流を直流に変換する必要があります。
このときに使用されるのが整流回路です。

半波整流回路では、ダイオードを使って交流電圧の片側の波形だけを取り出します。
この状態では断続的な電圧となるため、そのままでは安定した直流電圧とは言えません。

そこでコンデンサを接続して電荷を蓄えることで、電圧が低下する部分を補い、よりなだらかな直流電圧を得ることができます。

このように直流電圧に含まれるわずかな変動成分をリップルと呼びます。

なお、ここでは整流の基本を説明するために半波整流回路を例にしていますが、実際の電源回路ではより効率の良い全波整流回路が使用されることが一般的です。

スイッチング電源の基本回路

ドロッパー方式は部品点数が少なくて良いのですが、大きくて重いという欠点があります。例えばスマホの充電器をドロッパー方式にすると何倍もの大きさでしかも重くなるので、おそらくとても持ち歩く気にはならないでしょう。その一番の原因は電圧変換に使用しているトランスが大きくて重いことが原因であり、これを使用せずに小型軽量化したのが下図のようなスイッチング方式となります。

スイッチング電源は、主に次のような回路によって構成されています。

全波整流回路

入力された交流電圧は、まず整流回路によって直流電圧に変換されます。
この段階では電圧はまだ下げられておらず、平滑コンデンサには高い直流電圧が充電されます。

スイッチング回路

次に、スイッチング用の半導体(トランジスタやMOSFETなど)を用いて、この直流電圧を高速でON/OFFします。
このスイッチング動作によって、高周波の電力が作られます。

スイッチングトランス(高周波トランス)

スイッチングによって作られた高周波電力は、スイッチングトランスに入力されます。
通常の電源トランスは50Hzや60Hzで動作しますが、スイッチング電源では高周波で動作するため、トランスを小型化することが可能になります。

スイッチング用半導体

コンデンサに充電されている直流をスイッチング用半導体を使って高速にON/OFFを繰り返すことによって高周波を作り出し、スイッチングトランスの一次側に供給します。

出力整流回路

スイッチングトランスの二次側に現れた電圧は、再び整流回路によって直流電圧に変換されます。
その後、コンデンサによって平滑化され、安定した直流電圧として出力されます。

制御回路

出力電圧は常に監視されており、目標電圧より低い場合はスイッチングのON時間を長くし、逆に高い場合は短くすることで電圧を一定に保っています。
このような制御によって、負荷が変化しても安定した出力電圧を維持することができます。

デューティー比とは

スイッチングのデューティ比はON時間とOFF時間の比率を表しており、以下のようになります。

デューティ比ON時間OFF時間整流後の直流電圧(C2両端電圧)
10%10%90%最大電圧の10%
50%50%50%最大電圧の50%
90%90%10%最大電圧の90%

このように、スイッチングトランス出力側の半波整流後のC2両端電圧はスイッチングのデューティ比に比例して変化します。言葉を変えて言えばデューティ比を変えることにより出力電圧の制御ができる訳ですから、ドロッパー式のような電圧変換トランスを使わなくても電圧を下げることが可能となる訳です。

スイッチング電源のメリット

スイッチング電源の大きな特長は、高効率で小型・軽量な電源を実現できることです。

高周波で電力変換を行うためトランスや回路部品を小型化でき、電力損失も比較的少ないため、現在の電子機器では広く採用されています。

スイッチング電源のデメリット

スイッチング電源は多くのメリットがありますが、短所もあります。

その一つがスイッチングノイズやリップルノイズです。
内部で高速スイッチングを行うため、その影響が出力電圧に現れることがあります。

そのため、電源の評価や試験ではリップルノイズなどの特性を確認することが重要になります。

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