はじめに
直流安定化電源は、電子工作や実験、製品の試験などで広く使われている基本的な測定器です。安定した直流電圧を供給できる便利な機器ですが、使い方を誤ると機器を壊してしまったり、思った通りの結果が得られなかったりすることがあります。
この記事では、初心者が陥りがちな失敗例とその対処法を、わかりやすく解説します。
直流安定化電源とは?
直流安定化電源とは、コンセントから得られる交流電源(AC100V)を、安定した直流電圧(DC)に変換して出力する装置です。電圧や電流を自由に調整できるため、様々な電子機器のテストや開発に欠かせません。
主な特徴:
- 負荷に対して安定した電圧・電流を供給
- 出力電圧を自由に設定できる
- 出力電流を制限できる
よくある失敗 その1:電源電圧の間違い
| 概要 | 最近の機種は「ワールドワイド電源電圧対応」のものが増えていますが、そうでない場合、電源電圧を間違うと故障の原因となります。 |
| 対処法(案) | 電源入力電圧範囲を確認してから使用するようにしましょう。 |
よくある失敗 その2:極性の間違いによるD.U.T.破損
| 概要 | 逆接続するとD.U.T.(被試験物)を破損させる恐れがありますので危険です。 |
| 対処法(案) | 一般的にプラスは赤色、マイナスは黒色のケーブルを使用するのが普通です。接続するときは、これに準じた色のケーブルを使うようにしましょう。 |
よくある失敗 その3:過電流によるD.U.T.(試作品)の破損
| 概要 | 電流制限(電流リミット)を設定しないと、直流電源は最大定格電流を流せることになり、場合によってはD.U.T.を破損させることもあります。 |
| 対処法(案) | 常に電流リミット値を意識し、設定してから使うように心がけましょう。 |
よくある失敗 その4:電圧降下による設定誤差が大きい
| 概要 | 特に大電流を流して試験する際、ケーブルの電圧降下が大きくなり試験に悪影響を及ぼしてしまった。 |
| 対処法(案) | リモートセンス入力をD.U.T.の入力端に接続し、電圧降下分を補正しましょう。 |
よくある失敗 その5:直流電源の出力容量を超えたD.U.T.を接続
| 概要 | 直流電源の出力容量を超えたD.U.T.を接続し、直流電源の過電力アラーム等が発生してしまった。 |
| 対処法(案) | D.U.T.は直流電源の定格容量の80%程度で使用するようにしましょう。 |
よくある失敗 その6:並列運転の誤接続
| 概要 | 並列運転に対応していない機種で並列接続してしまった。 |
| 対処法(案) | 事前に並列運転の可否及び接続方法を確認してから接続するようにしましょう。 |
よくある失敗 その7:直列運転の誤接続
| 概要 | 直列運転に対応していない機種で直列接続してしまった。 |
| 対処法(案) | 事前に直列運転の可否及び接続方法を確認してから接続するようにしましょう。 |
よくある失敗 その8:出力電圧が不安定になる
| 概要 | 出力電圧が不安定(時々0Vに落ちる) |
| 対処法(案) | 負荷ケーブルの接続(ねじ締め)が不完全の可能性があります。 |
よくある失敗 その9:接地方法の接続ミス
| 概要 | プラス接地のD.U.T.に対して直流電源をマイナス接地として接続してしまった。 |
| 対処法(案) | 接地方法は直流電源とD.U.T.で共通にしましょう。 |
よくある失敗 その10:リモート設定分解能の考慮不足
| 概要 | 直流電源をGP-IBなどのリモート制御で使用する場合、リモート制御インターフェースの設定分解能を考慮する必要があります。10Vフルスケールの直流電源で、設定分解能が10ビットの場合、最小分解能は 10V ÷ 1024 ≒ 10mV となりますので、10mV未満の設定はできません。 |
| 対処法(案) | 事前にリモート制御インターフェースの設定分解能を確認しておきましょう。 |
まとめ
直流安定化電源は正しく使えば非常に便利で安全な機器ですが、基本を守らないと危険な事故につながることもあります。
重要なポイント:
- 極性を必ず確認する
- 電流制限を必ず設定する
- 定格を守る
- 接続をしっかり行う
- 保護機能を理解する
最初は面倒に感じるかもしれませんが、チェックリストを作って習慣化すれば、安全で確実な実験・試験が行えます。わからないことがあれば、必ず取扱説明書を確認するか、経験者に相談しましょう。
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