電子負荷:リニア方式と回生方式の違いとは?

はじめに
電源の開発やバッテリーのテストを行う際、欠かせないのが「電子負荷」です。電子負荷とは、電源から電力を引き出して消費することで、電源の性能を評価する測定器のこと。今回は、その電子負荷の2つの主要な方式について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
電子負荷って、何をする装置?
まず基本から。電子負荷は「電気を使う側」を模擬する装置です。
例えば、新しく設計した電源が「本当に10Aの電流を安定して供給できるか?」を確認したいとき、実際の製品をつなぐ前に電子負荷でテストします。電子負荷は設定した電流や電圧で電力を消費し、電源の挙動を詳しく調べられるのです。
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二つの方式の基本的な違い
電子負荷には大きく分けて2つの方式があります:
- リニア(ドロッパー)方式
電力を熱に変えて消費する方式 - 回生(スイッチング)方式
電力を電源に戻す方式
この違いが、性能や使い勝手、コストに大きく影響します。
リニア(ドロッパー)方式
仕組み
リニア方式は、トランジスタなどの半導体素子を「可変抵抗」として使います。水道の蛇口を想像してください。蛇口を絞ると水の流れが減りますが、絞った部分で圧力が失われます。リニア方式も同じで、電力を熱として「捨てる」のです。
電源 → [トランジスタ] → 熱として放出
(可変抵抗)
特徴
メリット:
- ノイズが非常に少ない:スイッチング動作をしないため、高周波ノイズがほとんど発生しません
- 応答速度が速い:リアルタイムで電流を制御できます
- 回路構成がシンプル:基本的な構造で実現できます
- 測定精度が高い:ノイズが少ないため、正確な測定が可能です
デメリット:
- 発熱が大きい:消費電力がすべて熱になります
- 冷却装置が必要:大型のヒートシンクやファンが必須です
- 電力効率が悪い:電気代がかかります
- サイズが大きくなりがち:冷却機構のため
こんな用途に最適
- 精密な電源測定
- ノイズに敏感な回路のテスト
- 研究開発や品質検査
- 小~中容量の負荷試験
回生(スイッチング)方式
仕組み
回生方式は、入力された電力を一旦直流に変換し、さらにスイッチング技術を使って商用電源(AC100V/200V)に戻します。「回生」とは「電力を回収して再利用する」という意味です。
電源 → [AC→DC] → [DC→AC] → 商用電源へ返却(または他の機器で使用)
特徴
メリット:
- 省エネルギー:電力の70~95%を回収できます
- 発熱が少ない:熱として捨てる電力が少ないです
- コンパクト:大型の冷却装置が不要です
- ランニングコストが低い:電気代が大幅に削減できます
- 大容量化が容易:kW~MWクラスも実現可能です
デメリット:
- 高周波ノイズが発生:スイッチング動作により数十kHz~数MHzのノイズが出ます
- 回路が複雑:制御回路が高度です
- 初期コストが高い:装置価格が高額です
- 応答速度がやや遅い:リニア方式に比べると若干遅れます
こんな用途に最適
- バッテリーの充放電試験
- 大容量電源のテスト
- 長時間の連続試験
- 電気自動車の開発
- 太陽光発電システムの評価
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比較表で見る両方式の違い
| 項目 | リニア方式 | 回生方式 |
| 電力効率 | 0%(全て熱) | 70~95% |
| 発熱 | 大 | 小 |
| ノイズ | 極小 | 中~大 |
| 応答速度 | 非常に速い | 速い |
| サイズ | 大(冷却機構) | 中~小 |
| 初期コスト | 低~中 | 高 |
| ランニングコスト | 高(電気代) | 低 |
| 適用容量 | 小~中 | 小~超大 |
| 測定精度 | 非常に高い | 高 |
その他の方式
最近では、両方式の良いとこ取りをした「ハイブリッド方式」も登場しています。
- 基本は回生方式で動作(省エネ)
- 精密測定時はリニア方式に切替(低ノイズ)
このような製品は、研究開発から生産ラインまで幅広く使える万能型として注目されています。
どちらを選ぶべき?選択のポイント
リニア方式を選ぶべきケース
- 測定精度を最優先したい
- ノイズが許容できない測定を行う
- 使用時間が短い(断続的な使用)
- 予算を抑えたい
回生方式を選ぶべきケース
- 長時間の連続試験を行う
- 大容量の負荷試験が必要
- ランニングコストを抑えたい
- 環境への配慮が必要(省エネ、発熱削減)
実際の使用例
例1:スマートフォン充電器の開発(リニア方式)
出力5V/2Aの小型充電器を開発する場合、消費電力は最大10W程度。この規模なら発熱も管理しやすく、精密な電圧・電流測定が求められるため、リニア方式が適しています。
例2:電気自動車のバッテリー試験(回生方式)
400Vで100Aの充放電試験を行う場合、40kWもの電力を扱います。これを8時間テストすると320kWhの電力消費。リニア方式では膨大な熱と電気代が発生しますが、回生方式なら90%回収できれば32kWhの消費で済みます。
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まとめ
電子負荷の2つの方式は、それぞれに明確な特徴があります:
- リニア方式:精密・低ノイズ・シンプルだが、発熱大
- 回生方式:省エネ・大容量対応可能だが、ノイズあり
用途や予算、測定要件に応じて適切な方式を選ぶことが、効率的なテストと開発につながります。最近の技術進化により、両方式の欠点を補う製品も増えてきていますので、実際の選定では複数のメーカーの製品を比較検討することをお勧めします。
電子負荷は縁の下の力持ち。あなたが日々使っている電子機器も、この電子負荷によって品質が保証されているのです。
関連情報
直流電子負荷
豊富なシリーズ・機種のラインナップより、ハイエンドタイプの高速電流制御の電子負荷をはじめとしてモジュールタイプ、大容量タイプ、ローコストタイプなど様々なご用途に幅広く対応が可能です。またビルトイン試験機能など各種ニーズの負荷試験に最適です。
【ドロッパー方式】40W~480kW/60V~1,200V
回生型電子負荷
系統への電力回生機能を有した10kW/50kWの回生型電子負荷です。交流、直流の両用に対応しており、インバータやAC/DC電源の負荷試験に1台で対応が可能で、UPS試験などに最適です。並列接続により最大5台まで負荷拡張可能で、交流単相3線や三相3線/4線にも複数台により対応が可能です。
【スイッチング方式】10kW~250kW
回生型電源(双方向)
350V/750V/1,500Vの3種類の直流電圧入出力と高効率の系統への電力回生機能を搭載し、大容量に対応した50kWの回生型電源(双方向)です。
2電池への充放電試験をはじめとして双方向コンバータの試験などに最適です。また並列接続により最大5台まで負荷拡張可能です。
【スイッチング方式】50kW~250kW





