リアルタイムクロックって、そもそもナニ?

はじめに

私たちが毎日使っているスマートフォンやパソコン。画面の隅には必ず「時刻」が表示されていますよね。でも、考えてみてください。電源を切っても、次に起動したときにはちゃんと正しい時刻が表示されています。不思議だと思いませんか?

実は、この「電源が切れていても時間を覚えている仕組み」こそが、リアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)なのです。

リアルタイムクロックは「時刻の記憶係」

リアルタイムクロックを一言で表すなら、「コンピュータの中にある、小さな時計」です。コンピュータの部品の多くは、電源を切ると全てを忘れてしまいます。でもRTCは違います。小さなボタン電池で動き続け、年・月・日・時・分・秒を刻み続けているのです。まるで腕時計のように。

どんなときに活躍するの?

RTCは、私たちが意識しないところで大活躍しています。

  • パソコンを起動したとき:「今日は2026年1月16日の午後4時39分です」と教えてくれる
  • 写真を撮ったとき:「この写真は2026年1月16日に撮影されました」という情報を記録
  • 予約録画:「明日の夜9時になったら録画を開始して」という指示を正確に実行
  • 自動バックアップ:「毎日午前3時にデータを保存」といったスケジュール管理

なぜ「リアルタイム」なの?

「リアルタイム」という言葉には、「現実の時間と同じ速さで」という意味があります。コンピュータの中には、実はたくさんの「時計」があります。でもその多くは、「プログラムが何秒間動いたか」を測るような、プログラム専用の時計です。これは電源を切るとリセットされてしまいます。

一方、RTCは私たち人間が使う「現実の時間」そのものを刻んでいます。だから「リアルタイム(現実時間)クロック」と呼ばれるのです。

RTCのしくみを少しだけ

RTCは主に3つの部品でできています。

  1. 水晶振動子(クォーツ)
    腕時計にも使われている、正確に振動する水晶の結晶です。この振動を数えることで、正確な時間を刻みます。「チック、タック、チック、タック...」と規則正しく振動し続けているイメージです。
  2. カウンター回路
    水晶振動子の振動を数えて、「何秒経った」「何分経った」と計算する部分です。60秒で1分、60分で1時間...と計算していきます。
  3. バックアップ電池
    コイン型の小さな電池です。メインの電源が切れても、この電池のおかげでRTCは動き続けられます。この電池は何年も持つように設計されています。

身の回りのRTC

RTCは、想像以上にいろんなところで使われています。

家電製品

  • エアコンの「午前7時に暖房オン」
  • 炊飯器の「朝6時に炊きあがり」
  • ビデオレコーダーの予約録画

乗り物

  • 自動車のドライブレコーダー(事故の正確な時刻を記録)
  • 電車の運行システム(定刻通りに運行するため)

産業機器

  • 工場の機械(いつ生産したかの記録)
  • 監視カメラ(映像に正確な時刻を記録)

インターネット時代の時刻合わせ

「でも、スマホって自動で時刻が合うよね?」と思いませんでしたか?その通りです!現代のスマートフォンやパソコンは、インターネットを通じて「時刻サーバー」から正確な時刻を受け取り、自動的にRTCの時刻を修正しています。これをNTP(Network Time Protocol)といいます。

つまり、RTCが「だいたいの時間」を保持し、インターネットで「正確な時間」に修正するという、二段構えになっているのです。

もしRTCが無かったら

想像してみてください。RTCがない世界を。

  • パソコンを起動するたびに「今日は何年何月何日ですか?」と聞かれる
  • 写真を撮っても「いつ撮ったか」わからない
  • 予約録画ができない
  • ファイルの「作成日時」や「更新日時」が全部わからなくなる

...とても不便ですよね。RTCは目立たない存在ですが、実はとても重要な部品なのです。

おわりに

リアルタイムクロックは「電源が切れても時間を覚えている、小さな時計」です。私たちが当たり前のように現在時刻を知ることができるのは、このRTCが裏でコツコツと時を刻み続けてくれているから。腕時計のように、小さな電池で何年も動き続け、デジタル機器に「時間の感覚」を与えてくれる、縁の下の力持ちなのです。

次にパソコンやスマホの時刻を見たとき、その裏で健気に働いているRTCのことを、ちょっと思い出してみてください。