LEDの不思議

はじめに
私たちの生活の身近にある「LED」。スマホの画面、信号、イルミネーション、懐中電灯…。いろんなところで使われていますよね。でも、なぜLEDはあんなに明るく光るのでしょう?今回は、LEDの不思議について、やさしくご紹介します。
なぜ光るの?
LEDは「Light Emitting Diode(ライト・エミッティング・ダイオード)」の略で、日本語では「発光ダイオード」といいます。
LEDが光る仕組みは、実は意外とシンプル。LEDの中には「電子」と「正孔(せいこう)」という小さな粒々(つぶつぶ)がいます。電気が流れると、これらが出会い、パチンとエネルギーを放出します。このエネルギーが「光」となって私たちの目に見えるのです。
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LEDの歴史
LEDの歴史は意外に古く、1962年にアメリカで発明されました。当時のLEDは赤色しか光らなかったので、主にスイッチのインジケータ(状態表示)などに使われていました。その後、緑や黄のLEDも開発され、1990年代に日本の科学者、中村修二さんたちによって「青色LED」がついに誕生します。青色ができたことで、LEDを使って白い光も作れるようになり、私たちの暮らしに一気に広がりました。
光の三原色

LEDの大きな特徴は、色を自由に作り出せることです。この秘密は「光の三原色」にあります。「三原色」とは、
- 赤(Red)
- 緑(Green)
- 青(Blue)
この3つの光を混ぜることで、いろんな色が作れるのです。たとえば、赤と緑を混ぜると黄色、すべての色を混ぜると白色ができます。このようにLEDはそれぞれの色のLEDを組み合わせ、好きな色の光を作り出せるのです。
その他の不思議
- エコなLED
LEDはとても省エネです。昔の白熱電球や蛍光灯よりも、はるかに少ない電気でたっぷり光ります。長持ちするのも特徴です。 - 小さくてもパワフル
LEDはとても小さな部品。でも、明るさや色を思いのままにコントロールできるため、自動車や飛行機、コンピュータの中など、多くの場所で大活躍しています。 - 安全で安心
LEDはガラスや有害な水銀を使わないので、壊れても安心。熱もあまり出さないので、火傷の心配も少ないです。
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青色LEDが難しかった理由とは?
LEDは1960年代から赤色や緑色が作られ、電子機器の表示などに活躍していました。でも、「青色」のLEDだけはなかなかできませんでした。理由は、青い光を出せる半導体材料がなかったからです。
LEDは、材料によって出せる光の色が決まります。赤や緑は比較的作りやすい材料があったのですが、青色に適した材料は非常に扱いが難しかったのです。
青色LEDへのチャレンジ
1980年代、日本の複数の研究者たちが、青色LEDに最適な材料「窒化ガリウム(GaN)」の研究を始めました。しかし、この材料はとても固く、きれいな結晶を作るのがとても難しかったのです。なかなか思うように明るく青く光らせることができませんでした。
中村修二さんと仲間たちの努力
転機になったのは、1990年代に日亜化学工業の中村修二(なかむら しゅうじ)さんが登場してからです。
中村さんは、
- 窒化ガリウムの「高品質な結晶」をつくる特別な方法(「二段階成長法」)を考案
- 元々不純物が入りやすくて、うまく光らなかった問題を「ドーピング」という技術でクリア
このように、さまざまな工夫と失敗を重ね、「明るい青色LEDの量産」に世界で初めて成功しました。
青色LEDで何が変わった?
赤・緑・青のLEDがそろったことで、フルカラーの光や、青色をベースにした白色LED(=省エネなLED照明やディスプレイ)が誕生しました。
私たちの部屋の照明、テレビの画面(バックライト)、自動車のヘッドライトなど、いまやLEDなしでは考えられない生活が実現しています。
おわりに
青色LEDの開発は、「みんながあきらめかけた難問」に、日本の研究者と技術者たちが挑戦し、努力と創意工夫で世界を変えた素晴らしい物語です。その功績が認められ、2014年には青色LEDの発明・開発者たちにノーベル物理学賞が贈られました。
青色LEDができるまでには、たくさんの困難を乗り越えた人たちの“熱い想い”が詰まっているのです。
私たちの身の回りには、もうLEDなしの暮らしは考えられません。エネルギーを節約しながら、いろんな色で私たちを楽しませてくれるLED。もし機会があったら、LEDの小さな光に、どんな不思議が隠れているのか、ぜひ思い出してみてくださいね。
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