SCR(サイリスタ)って、そもそもナニ?

はじめに
みなさんは普段、部屋の電気をつけるとき、スイッチをパチッと押しますよね。押せば点く、もう一度押せば消える。当たり前のことです。
ところが、電子回路の世界には「一度ONにしたら、自分では切れない」という、ちょっと変わったスイッチがあります。それがSCR(Silicon Controlled Rectifier)、日本語ではサイリスタと呼ばれる部品です。
なぜ自分で切れないスイッチが必要なの?
「えっ、それって不便じゃない?」と思いますよね。
でも、実はこの特性が、大きな電力を扱うときにとても役立つんです。
例えば、工場の大型モーターや電車、溶接機など、大きな電力を制御したい場面を想像してください。こうした機器では、小さな信号で大きな電力をコントロールしたいという需要があります。
SCRは、ほんの小さな信号(トリガー)を送るだけで、大きな電流を流し始めることができます。そして一度流れ始めたら、電流が自然に減るまで(またはゼロになるまで)流し続けてくれるんです。
SCRの3つの足
SCRには3本の端子(足)があります:
- アノード(A) - 電流の入口
- カソード(K) - 電流の出口
- ゲート(G) - トリガー信号を送る制御端子
普通のスイッチと違うのは、このゲートという特別な端子があることです。
どうやって動くの?
SCRの動作はこんな感じです:
- ステップ1:待機状態
最初、SCRは電流を通しません(OFF状態)。アノードとカソードの間に電圧をかけても、電流は流れません。 - ステップ2:トリガー
ゲートに小さな電流を流すと、パッとSCRが導通状態(ON状態)になります。これで、アノード→カソード間に大きな電流が流れ始めます。 - ステップ3:ラッチング(保持)
ここが面白いところ!一度ONになったら、ゲートの信号を切ってもONのままなんです。これを「ラッチング」と言います。 - ステップ4:OFFにするには
SCRをOFFにするには、アノード→カソード間の電流を減らして、ある値(保持電流)以下にする必要があります。または、アノード-カソード間の電圧を逆向きにします。
身近なところで活躍するSCR
実は、SCRは私たちの身の回りで密かに活躍しています:
- 調光器 - 部屋の照明の明るさを調整する器具
- 電子レンジ - 出力調整
- 電車の制御装置 - モーターの速度制御
- 溶接機 - 大電流のON/OFF制御
- 電力変換装置 - 交流を直流に変える整流器
名前の由来
Silicon(シリコン) + Controlled(制御された) + Rectifier(整流器)
つまり「シリコンでできた、制御可能な整流器」という意味です。整流器というのは、交流を直流に変換する装置のこと。SCRは単に整流するだけでなく、電流を制御できるところが特徴なんですね。
まとめ
- 小さな信号で大きな電力を制御できる
- 一度ONにしたら、電流が減るまで自動的に流れ続ける
- 大電力を扱う機器に最適
- 構造がシンプルで頑丈

