信号分配合成器って、そもそもナニ?

はじめに
信号分配合成器は、その名の通り信号の分配だけでなく合成にも使用できる、言わば二刀流の便利な製品ですが、今回は、この信号分配合成器について注意点などをまとめてみます。
信号分配器の種類
基本的な信号分配器としては、主に以下の2種類の製品が使用されています。
名称 | 特徴 |
スプリッター | 単方向の分配器としての使用を想定している |
ディバイダー | 双方向(分配器・合成器)としての使用を想定しているもので、今回の「信号分配合成器」はこれにあたります。 |
スプリッターとは?
下図はスプリッターの使用イメージです。

スプリッターの入力端子から見たインピーダンスZinは、ちょっと式が煩雑になりますが・・
Zin = (1 / (1 / (50 + 50) + 1 / (50 + 50)) = 1 / (1 / 100 + 1 / 100)
= 1 / (2 / 100) = 100 / 2
= 50 (Ω)
ということは、機器1の出力インピーダンスと同じですのでインピーダンスマッチングが取れることになります。
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ディバイダーとは?
次にディバイダーの使用イメージを見てみましょう。

スプリッターと同様に入力インピーダンスZinを求めると
Zin = 16.7 + (1 / (1 / (16.7 + 50) + 1 / 16.7 + 50))
= 16.7 + 1 / (1 / 66.7 + 1 / 66.7) = 16.7 + 33.35
≒ 50 (Ω)
計算してみるまでもありませんが、ディバイダーは逆方向からのインピーダンスも50Ωとなり整合が取れるようになっています。
注意点
インピーダンス整合 | 通常、スプリッターは1入力に対して出力複数として設計され、逆向きのインピーダンス整合が保証されていません。 |
信号源の相互干渉 | 合成器用途では、複数の信号源同士が電気的(特に同一周波数の場合)に干渉しあう可能性があります。 |
損失 | 分配器を逆に使う場合、本来の方向よりも損失が大きくなったり、性能が保証されないこともあります。 |
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まとめ
小信号、簡易用途(例:オーディオ用、TVアンテナ用等)であれば問題が発生することは少ないと思われますが、高周波、業務用途や精密機器では挿入損失などの仕様を確認してから使用するようにしましょう。
関連情報
ダミーアンテナ(疑似空中線)・AM/FM 信号分配合成器
2024-05-28