リモートセンシングのしくみ「電源編」

はじめに

電気の流れを制御する「直流電源」に、実はちょっとした秘密兵器があるのをご存じですか? それが「リモートセンシング」という機能です。この名前だけ聞くと、なんだか難しい機能に思えるかもしれませんが、実際はとてもシンプルなアイデアで、電気をより正確に届けるための賢い仕組みなのです。

今回は、初心者の方でも楽しみながら学べるように、リモートセンシングを「電源から電圧を運ぶ配送トラック」にたとえて、その仕組みをわかりやすく解説していきます!

電圧降下って、どうして起こるの?

理屈はとっても簡単で、「オームの法則」が基本です。

オームの法則:電圧 = 抵抗 × 電流

電線には少しだけ抵抗があります。この抵抗分だけ電流の流れが妨げられ、電圧が下がってしまうのです。しかも、電流が流れる量が増えれば増えるほど、この電圧降下は大きくなっていきます。

たとえば、こんなイメージです

  • 抵抗値:0.01Ω(細い道路)
  • 電流:10A(トラックの荷物の重さ)

この場合、

  • 電圧降下 = 0.01Ω × 10A = 0.1ボルト
    これが片道分なので往復する電線だと 0.1ボルト × 2 = 0.2ボルト

設定値10ボルトでも負荷に届くのは9.8ボルト……ちょっとズレてしまうわけですね。

毎回手直しするのは面倒!自動で補正できない?

では、この電圧降下をどうやって解消するか?それには2つの方法があります。

  1. 元から多めに電圧を設定する
    10ボルトではなく、10.4ボルトなど高めに設定しておくことで、電圧降下を考慮。でもこれは電流が変わるたびに設定し直す必要があり、大変です。
  2. リモートセンシングを使う!
    負荷(届け先)に直接センサーの役割を果たす線をつなぐことで「今、この地点にはこんな電圧が届いているよ!」と教える仕組みです。直流電源はその情報をもとに、トラック(電圧)の積み荷をリアルタイムで調整します。

リモートセンシングのメリットを簡単に

リモートセンシングを使うと、こんな素敵なことが起こります:

  • 正確な電圧供給:配送先にピッタリの電圧が届きます。
  • 効率化:電流値が変わるたびに設定を直す必要がありません。
  • 負荷に優しい:意図しない低電圧での動作不良や故障を防ぎます。

リモートセンシングの仕組みをざっくり解説

リモートセンシングで使う配線は、負荷機器に電圧を届ける「電力線」に加えて、「電圧を監視するセンサー線」を接続するだけです。そして重要なのは、このセンサー線にはほとんど電流が流れないため、電圧降下がほぼゼロという点!

つまり、配送トラックが負荷機器に到着したときに、到着地点の状況をリアルタイムでチェックできるのです。

まとめ:リモートセンシングで「スマート補正」

電源装置における「リモートセンシング」は、電圧を正確に届けるためのスーパーアシスタントのような働きをしてくれます。この機能によって、複雑な調整作業を簡単に、そして正確に行えるのです。

これから電源装置を扱う場面でリモートセンシングの機能が目に留まったら、ぜひ一度この仕組みを思い出してみてください。あなたの電気制御が一段とスムーズになります!

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