ゼロV対応電子負荷って、そもそもナニ?

はじめに

電圧が無い(ゼロV)なのに電流を流すことができるなんて、まるで魔法使いのような電子負荷ですが、今回はそのような「ゼロV対応電子負荷」がテーマです。

ゼロV対応電子負荷とは?

燃料電池などで出力される電圧が低い場合、負荷ケーブルの電圧降下によって負荷端子電圧が0Vになることがあります。このような場合、被試験物(燃料電池)と直列にバイアス電源(直流電源)を入れることで、見た目上の負荷端子電圧を電子負荷の最小動作電圧より高くして試験することが可能です。このように構築された電子負荷は「ゼロV対応電子負荷」と呼ばれます。

一般的な電子負荷とは?

電子負荷は、電源やバッテリーの試験に使われる道具の一種です。この装置を使うと、実際に「負荷(電力を消費する動作)」を模擬することで、電源やバッテリーの性能を試験できます。
例えば、家庭で使う電子機器は電力を消費しますが、電子負荷はそれらの代わりとして電力を消費して電源の性能をチェックする役目を果たします。

なぜ電子負荷の「ゼロV対応」が重要なのか?

通常の電子負荷には、動作できる最低限の電圧(「最小動作電圧」)があります。例えば、電子負荷が3V以上でないと動作しない場合、電圧がそれ未満になると負荷試験ができなくなります。
一方で、特に燃料電池や低電圧対応の電源などは、非常に低い電圧から動作を始めることがあります。このような場合、通常の電子負荷では試験ができず、最小動作電圧の制約が問題になるのです。

ゼロV対応の技術的背景

「ゼロV対応電子負荷」は、外部もしくは内部にバイアス電源(直流電源)を組み込むことで見た目上0V動作が可能になっています。この技術により、例えば次のような試験が可能になります。

燃料電池の試験燃料電池の電圧が低下しても、試験を継続することができる。
低電圧電源の確認0V近くでも正確に負荷をかけられるので試験精度が向上。

メリット

幅広い試験対応ゼロV対応により、従来の電子負荷では試験できなかった低電圧機器や電源の評価が可能になります。
効率的な評価低電圧や燃料電池の特性を精密に評価できるため、新しいエネルギー機器の研究開発にも大きく役立ちます。

まとめ

ゼロV対応電子負荷は、最小動作電圧を限りなく0Vに近づけた負荷装置であり、低電圧の電源や燃料電池の試験に不可欠な装置です。そのため、エネルギー効率の高い次世代エネルギーシステムの開発や評価に重要な役割を果たしています。
当社では直流電子負荷の外部にバイアス電源を接続する手法により「ゼロV対応電子負荷」として提案させていただいております。

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