フォトカプラって、そもそもナニ?

はじめに

「フォトカプラ」――この言葉を聞いて、「なにそれ?」「なんか難しそう…」と感じる方も多いかもしれませんね。でも大丈夫!実はこのフォトカプラ、私たちの身の回りにあるたくさんの電気製品で、目には見えないけれどとっても大切な「縁の下の力持ち」として活躍しているんです。

さあ、一緒にフォトカプラの秘密を覗いてみましょう!

ざっくり言うと、「電気の橋渡し」だけど「電気は通さない」不思議な部品!

いきなり矛盾しているように聞こえますよね?「橋渡し」なのに「電気は通さない」ってどういうこと?

簡単に言うと、フォトカプラは「光を使って、ある回路の電気信号を、別の回路に伝える」ための部品なんです。

「え、光?」そうなんです。これがおもしろいポイント!

例えるなら、

  • Aさんの部屋(電源ON/OFFの信号を出したい回路)
  • Bさんの部屋(Aさんの信号を受けて何かを動かしたい回路)

があるとします。

普通なら、Aさんの部屋からBさんの部屋へ電気のコードを繋げば信号は伝わりますよね。でも、Aさんの部屋とBさんの部屋の間に、とても大きな「壁」があって、電気のコードが直接つなげないとしたらどうでしょう?

そこで登場するのがフォトカプラ! フォトカプラは、Aさんの部屋で「電気がONになった!」という信号を受け取ると、光をピカッと出して、その光を壁の向こうのBさんの部屋に届けるんです。

Bさんの部屋では、その光を受け取ると「あ、Aさんの部屋がONになったな!」と理解して、自分も何かをONにする、という仕組みです。

電気の信号を「光」という形に変えて伝えるので、電気そのものはAさんの部屋からBさんの部屋へは一切流れません。これが、「電気の橋渡し」だけど「電気は通さない」という秘密なんです!

なぜそんな「回りくどい」ことをするの?

「なんでそんな面倒なことするの?普通に電線でつなげばいいじゃない!」と思うかもしれません。ここがフォトカプラの賢いところ。

フォトカプラが電気を直接通さないことで、次のような大きなメリットが生まれます。

  1. 感電や故障から守る「電気の壁」
    • もし、一方の回路で間違ってすごく高い電圧が発生してしまったら?電線で直接つながっていたら、もう一方の回路にも高電圧が流れ込み、人も感電したり、大事な機械が壊れてしまうかもしれません。
    • でも、フォトカプラがあれば大丈夫!光で伝えるので、高電圧はフォトカプラの内部で「壁」に遮られ、安全な側には伝わりません。まさに「電気の防波堤」のような役割です。
  2. ノイズ(雑音)から守る「静かな部屋」
    • 電気の回路には、モーターの音や他の電気製品から出る「ノイズ」という電気的な雑音が入ってくることがあります。このノイズが信号に混じると、誤作動の原因になります。
    • フォトカプラは、電気的に完全に切り離されているため、片方の回路で発生したノイズがもう一方の回路に流れ込むのを防いでくれます。まるで、音の大きい部屋と静かな部屋を完全に隔てるようなものです。

つまり、フォトカプラは「電気的に安全な状態を保ちながら、正確に信号を伝える」という、とっても重要な役割を担っているのです。

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フォトカプラの中はどうなっているの?

フォトカプラの基本的な構造は、とってもシンプルです。

  1. 光を出す部分(発光ダイオード:LED)
    • これは、リモコンの先に付いているような、電気を通すと光る小さな豆電球(LED)と同じ仲間です。信号が来ると、このLEDが光ります。
  2. 光を受け取る部分(フォトトランジスタなど)
    • これは、光が当たると電気を流す(または電気の流れをコントロールする)素子です。LEDから出た光を受け取ると、「光が来たぞ!」と認識して、もう一方の回路に信号を伝えます。

これらが、とても小さなパッケージの中に密閉されて入っています。外から見るとただの小さな黒い部品ですが、中では光のキャッチボールが行われているんですね。

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どんなところで活躍しているの?

フォトカプラは、安全や安定性が求められるさまざまな電気製品に組み込まれています。

  • 家電製品(テレビ、エアコン、電子レンジなど)
    電源部分などで、家庭のコンセントの電気と、製品内部の繊細な電気回路を安全に切り離しています。
  • パソコンの電源アダプター
    ノートパソコンの充電器などにもよく使われています。高電圧のコン入力側と、低電圧のパソコン側を安全に絶縁しています。
  • 産業用機械・FA(ファクトリーオートメーション)機器
    工場で動くロボットや機械は、大きなモーターやたくさんの電気ノイズが発生します。フォトカプラは、安全を守り、誤作動を防ぐために欠かせません。
  • 医療機器
    人の命に関わる医療機器では、安全性と信頼性が最優先されます。患者さんを感電から守り、正確な診断・治療を支えるために、フォトカプラが重要な役割を果たしています。

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まとめ:見えないところで私たちの生活を支える、賢い光の橋渡し役!

フォトカプラは、まるで忍者やスパイのように、目立たないけれど非常に重要な働きをしている部品です。電気的な壁を作りながら、光で正確に情報を伝えることで、私たちの使う電気製品が安全に、そして安定して動くのを助けています。

もし機会があれば、身の回りにある電気製品の回路基板を覗いてみてください。小さな黒い部品の中に、光のキャッチボールが行われているフォトカプラが隠れているかもしれませんよ!