耐電圧試験と絶縁抵抗試験の違いとは?

はじめに
耐電圧試験と絶縁抵抗試験は、どちらも電気設備や電気部品の絶縁性能を評価するために行われる試験ですが、その目的や実施方法が異なります。以下、初心者向けにわかりやすく説明します。
1.耐電圧試験とは?
目的: 絶縁の耐久力を確認する試験
耐電圧試験は、電気機器や装置が高い電圧にどの程度耐えられるかを確認する試験。この試験では、通常使用時にはかからないような「非常に高い電圧」を一定時間加え、絶縁が壊れない(絶縁破壊を起こさない)ことを確認します。
試験対象 | 絶縁材や回路全体の耐久性 |
試験方法 | 規定の高電圧(交流または直流)を短時間印加し、絶縁破壊(ショートや放電)が起こるか確認する(例: 5秒〜1分程度)。 |
例えるなら | 人間に例えると「体力測定」のようなもの |
結果をみるポイント | 電圧を印加しても異常がないこと(耐えられること)。 |

2.絶縁抵抗試験とは?
目的: 絶縁材が正常に機能しているかを確認する試験
絶縁抵抗試験では、絶縁材が電流をちゃんと遮断(漏電を防止)できるかを低めの電圧で確認するもの。この試験では、絶縁体の「抵抗値」を正確に測定します。抵抗値が高ければ高いほど、絶縁状態が良好です。
試験対象 | 絶縁材の性能 |
試験方法 | 比較的低い直流電圧(例: 250V〜1000V)をかけて、絶縁体の電気抵抗値を測定します。 |
例えるなら | 人間に例えると「健康診断」のようなもの |
結果をみるポイント | 測定された抵抗値が基準値以上であること。 |

3.耐電圧試験と絶縁抵抗試験の違い
項目 | 耐電圧試験 | 絶縁抵抗試験 |
目的 | 非常に高い電圧に耐えられるか確認 | 絶縁性能(漏電防止能力)の確認 |
試験の安全レベル | 高めのリスクがある(絶縁破壊の可能性あり) | 比較的安全(通常動作条件の確認) |
印加電圧 | 非常に高い電圧(例: 2倍〜3倍の使用電圧) | 低めの電圧(例: 250V〜1000V) |
評価結果 | 漏れ電流(絶縁破壊)がないかどうか | 抵抗値(基準を満たすかどうか) |
使用場面 | 製品の最終確認や安全性試験 | 日常的な点検やメンテナンス時 |
具体例
耐電圧試験 | 100V(商用電源)を使用する機器で、通常より高い1500Vを電極間に印加して確認。 結果として「誤動作や絶縁破壊がない」と判定されればOK。 |
絶縁抵抗試験 | 同じ機器で250Vまたは500Vのテスターを使い、絶縁抵抗を測定。 絶縁抵抗値が10MΩ以上であればOKといった基準で確認。 |
まとめ
- 耐電圧試験は、装置の耐久性を確認する「体力測定」のようなもの。
- 絶縁抵抗試験は、装置がちゃんと絶縁しているか確認する「健康診断」のようなもの。
どちらも、電気製品や設備の安全性を保つための重要な試験ですが、「厳しい試験が耐電圧」、「簡易的確認が絶縁抵抗」と覚えると理解しやすいでしょう。
関連情報
安全試験器(耐電圧/絶縁抵抗)
2017-12-27