パワエレの「トリビア」15選

パワーエレクトロニクスの歴史と技術のトリビア

  1. “交直論争”の決着後も直流が復活!
    20世紀初頭、エジソン(直流)とテスラ(交流)の「交直論争」が話題となり、最終的に交流が主流となりました。しかし近年では、長距離送電ではむしろ直流のほうが低損失と分かり、高電圧直流送電(HVDC)が復活しています。これは、パワーエレクトロニクスによる変換効率の向上が可能にしたものです。
  2. パワーエレクトロニクスの元祖「グレーツ回路」
    パワエレの基礎となる「グレーツ回路(整流回路)」は、なんと1897年にドイツの物理学者レーオ・グレーツによって発明されました。120年以上も前の発明が、現代のパワーエレクトロニクス技術にも活用されているのです。
  3. サイリスタの登場で大革命が起きた!
    1957年にゼネラル・エレクトリックが開発した「サイリスタ」は、パワーエレクトロニクスの発展を一気に加速させたデバイス。この登場によって、回転機や液体・気体を使った変換装置が一気に半導体ベースへ移行しました。

パワーエレクトロニクスと未来

  1. 脱炭素化のキーテクノロジー
    パワーエレクトロニクスの技術は、電気自動車、再生可能エネルギー、鉄道、そしてスマートグリッド分野など、脱炭素社会への移行を支える重要な技術です。これがなければ、太陽光発電や風力発電の電力も効率よく利用できません。
  2. 電気自動車の「静かな進化」
    電気自動車(EV)用のインバータは、騒音を抑えるために工夫されています。例えばスイッチング周波数を調整することで、モーターが発する高周波音(ヒューヒュー音)を、人間の耳に聞こえない領域へ移動させています。

パワー半導体の秘密

  1. シリコン時代から「SiC」「GaN」へ
    パワーエレクトロニクスにおいて、これまで主流だったシリコン半導体は、現在「SiC(シリコンカーバイド)」や「GaN(窒化ガリウム)」に置き換わりつつあります。これらの素材は「ワイドバンドギャップ半導体」と呼ばれ、高温や高電圧でも優れた性能を発揮するのです。
  2. 鉄道車両の重量削減
    高効率な「IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)」などのパワー半導体デバイスが小型軽量化を可能にし、鉄道車両全体の重量を減らすことに成功しました。これによって、省エネ化と加速性能の向上が実現されています。

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ユニークなパワエレ応用例

  1. パワエレは家庭のエアコンにも影響を与える!
    家庭用エアコンはパワーエレクトロニクス技術を利用して消費電力を大幅に削減しています。特に「インバータ制御」によって、部屋の温度に応じた柔軟な電力制御が可能になりました。
  2. 電力損失の削減!
    パワエレ技術により、太陽光発電における電力損失が劇的に改善されています。これにより、家庭用システムでのエネルギー利用効率も大幅に向上しています。
  3. 高度なモーター制御で水の浪費ゼロ
    産業用のポンプやファンも、パワエレ技術(インバータ制御)によって無駄な電力や水の消費を抑えています。例えば、水の供給が自動的に需要に応じて調整されるため、無駄な使用がなくなりました。

パワエレと日常生活

  1. 電源アダプタに隠された技術
    スマートフォンやノートパソコンの電源アダプタも、実は立派なパワーエレクトロニクス装置。入力は交流、出力は直流ですが、変換効率が90%以上にも達しているものがあります。
  2. LED照明の裏側
    ご家庭のLED電球にもパワエレが関係しています。LEDは直流で動作するため、商用交流電源を直流に変換する「電源回路」を内蔵しており、そのコンバータにパワエレ技術が使われています。

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パワエレとエネルギーの未来

  1. 家庭で電力を供給する「V2H」技術
    電気自動車は「走るバッテリー」としても利用可能です。パワエレ技術によって、車両から家庭(V2H:Vehicle to Home)に電力を供給することができます。これは災害時の電源としても注目されています。
  2. 宇宙開発を支えるパワエレ
    パワエレ技術は、人工衛星や宇宙探査機の電源システムにも活用されています。厳しい環境下で長期間安定して電力供給を行うためには、超高効率な電力変換技術が欠かせません。
  3. フライングタクシーへ
    eVTOL(電動垂直離着陸機)と呼ばれる次世代交通手段では、軽量かつ高効率のパワー半導体がカギとなります。これにより、フライングタクシーの実現が間近となっています。

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パワーエレクトロニクスは、私たちの生活のいたるところに広がっており、エネルギー効率の向上や新たな技術革新を支えています。「身近な技術」としての意外な一面や、未来を変えつつある最先端技術に注目してみてください!

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