Sパラメータって、そもそもナニ?

はじめに
Sパラメータ(エスパラメータ)、または散乱パラメータ(Scattering Parameters)は、主に高周波回路やマイクロ波回路で使われる重要な指標です。電子回路を勉強しはじめたばかりの方にもわかりやすく解説します。
Sパラメータとは?
Sパラメータは「回路に高周波(RF)信号を入れたとき、どのくらい信号が反射・透過されるか」を表す指標です。
なぜ使うの?
- 普通の「抵抗」や「インピーダンス」は、直流や低周波での話です。
- 高周波になると、信号が線路で反射したり、複雑な動きをします。
- こんなとき、「電圧」や「電流」よりも「入ってきたエネルギーがどう動くか」を見るSパラメータが便利なんです!
どんなときに登場する?
- アンテナやフィルタ、増幅器(アンプ)などの高周波回路
- マイクロ波回路や光通信など
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Sパラメータの「S」とは?
「Scattering(散乱)」のSです。信号が「散乱」する現象を数値化しているのでこのように呼ばれます。
具体的には?
「2端子対」と呼ばれる、端子が2つあるような回路(たとえば2ポートのアンプ)を例にします。
- 端子1に信号を入れる
- 信号の一部は出ていく(端子2から出ていく)
- 信号の一部は反射する(端子1に跳ね返る)
このとき、重要なSパラメータは4つあります。
記号 | 意味 |
S11 | 1番端子に入った信号のうち、どれだけ反射したか(入力反射係数) |
S21 | 1番端子に入った信号が、2番端子からどれだけ出ていったか(順方向伝達係数/ゲイン) |
S12 | 2番端子に入った信号が、1番端子からどれだけ出ていったか(逆方向伝達係数) |
S22 | 2番端子に入った信号のうち、どれだけ反射したか(出力反射係数) |
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おさらい(例)
アンプを例に考えます。
S11 | アンプの入力に信号を送ったら、どれだけ跳ね返されたか?(反射が少ないほど良い) |
S21 | 入力に送った信号が、どれだけ出力に出てきたか?(大きいほどよく増幅している) |
S12 | 出力側から入力側へ信号がどれくらい逆流するか(理想的にはゼロ、安定性に関係) |
S22 | アンプの出力に信号を送ったとき、どれだけ跳ね返されたか? |
ポイント
- それぞれのSパラメータは「大きさ」と「位相」で表されます(複素数)。
- 反射(S11やS22)が小さいほど、信号のムダが減ります。
- 伝送(S21やS12)が大きければ、よく信号を伝えたり増幅したりします。
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まとめ
- Sパラメータ=高周波回路で、信号の反射や伝送の具合を表すもの。
- 特にアンテナ・アンプ・フィルタなどで必須。
- S11(入力反射)、S21(順方向)、S12(逆方向)、S22(出力反射)が基本です。
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信号発生器
(AM/FM/DARC/RDS/HD Radio™)
2024-05-23