航空機内の電源で400Hzが使われている理由とは?

はじめに

一般的な家庭用電気(日本では50Hzか60Hz)とは違い、航空機では400Hzという高い周波数が使用されています。その理由を簡単にまとめると、大きく「軽量化」と「効率性の向上」にあります。

機器を軽く小さくできる

周波数が高いと、電気を流すための装置(モーターやトランスなど)を小型化・軽量化できます。例えば

  • トランスやモーターのサイズがコンパクトになり、同じ性能を持つ機器の重さを1/8に抑えられると言われています。
  • 航空機では「軽さ」がとても重要です。少しの重量増加でも燃料消費量が増え、飛行コストが高くなるため、機器を軽くすることが求められます。

周波数の選び方と400Hzの理由

では、なぜ「50Hzや60Hzではなく、400Hzなの?」という点ですが、高周波数にはメリットとデメリットがあります。

  • メリット:周波数が高いほど、機器を小型化しやすく、効率的に働く。
  • デメリット:周波数を上げすぎると、電線での電力ロスや発熱が増える。

航空機においては、軽量化というメリットと発熱や効率低下のリスクをバランスした結果、400Hzが最適とされたのです。

閉じたシステムでは問題なし

地上の送電網では周波数が高いと電力が遠くまで伝わりにくくなるため、高周波は向いていません。しかし、航空機は「小さな閉じたシステム」です。ここでは距離の問題は問題にならないため、400Hzが使用されているのです。

航空機での400Hzのメリットをまとめると次のようになります。

軽量化機内の装置を軽くできる → 飛行効率がアップ。
効率的な設計小型で性能の良い機器を使用可能。
航空機特有の環境に対応長距離に電力を送らない閉じた環境なので問題なし。

つまり、400Hzは「軽さを重視する」航空機ならではの選択なのです。

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