EEPROMって、そもそもナニ?

はじめに
もし、あなたがテレビのリモコンでチャンネル設定を変えたり、家電製品のタイマーをセットしたりしたことがあるなら、ひょっとしたら今日お話しする「あるもの」のお世話になっているかもしれません。
普段、意識することはありませんが、私たちの周りにはたくさんの「記憶装置」が隠れていて、賢く働いています。その中でも、ちょっと特別な役割を担っているのが、今回ご紹介する「EEPROM(イーイープロム)」です。
「イーイープロムって、なんか難しい名前…」と思うかもしれませんね。でも、ご安心ください!これを読めば、EEPROMがどんなもので、どんなところで活躍しているのかがきっとわかるはずです。
EEPROMの正体は「電気で書き換えられる賢いメモ帳」
まず、EEPROMというちょっと長い名前を分解してみましょう。
- Electrically
- Erasable
- Programmable
- Read-Only
- Memory
これを日本語にすると、「電気的に」「消去可能で」「書き込みもできる」「読み出し専用」「メモリ」となります。
「え?読み出し専用なのに、消したり書き込んだりできるの?」と不思議に思うかもしれませんね。
昔、コンピュータの「メモリ(記憶装置)」には、一度情報を書き込んだら、もう二度と書き換えられない「ROM(ロム:Read-Only Memory、読み出し専用メモリ)」というものがありました。これはまるで、文字を一度書いたら消せない石碑のようなものです。
でも、だんだん「電源を切っても情報が消えなくて、しかも書き換えられるメモリがあったら便利なのになぁ」というニーズが出てきました。そこで登場したのが、このEEPROMなんです。
EEPROMは、その名の通り、電気の力を使って、中に書き込んだ情報を消したり、新しい情報を書き込んだりできるという、画期的なメモ帳のようなものなのです。しかも、パソコンの電源を切っても、携帯電話の電池がなくなっても、中の情報が消えないという、とっても賢い特徴を持っています。
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EEPROMはどこで活躍してるの?~意外と身近な存在~
さて、この電気で書き換えられる賢いメモ帳、EEPROMは私たちの生活のどんなところで活躍しているのでしょうか?いくつか例を挙げてみましょう。
- テレビのリモコンや家電製品
あなたが設定したチャンネルの並び順や、よく使うタイマーの設定など、「ちょっとした設定情報」を覚えておくのに使われます。電源を切っても、設定が消えないのはEEPROMのおかげなんです。 - 車の走行距離計
車の走行距離は、バッテリーを外してもリセットされませんよね?これもEEPROMのようなメモリが、走行距離のデータをしっかり保存しているからなんです。 - ICカード(SuicaやEdyなど)
カードの中には、残高や利用履歴の一部など、電源がない状態でも情報を保持し、必要に応じて書き換えられる部分があります。 - プリンターのインク残量計
プリンターが「インクが少なくなっています」と教えてくれるのは、インクカートリッジの中にあるEEPROMが、残りのインク量を記憶しているからです。 - パソコンのBIOS設定
パソコンの起動順序や日付・時刻の設定なども、パソコンの電源を切っても記憶されています。これもEEPROM(や、その仲間であるフラッシュメモリ)が活躍している証拠です。
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このように、EEPROMは「少量だけど、電源を切っても消えてほしくなくて、でも時々書き換えたい情報」を記憶するのに、とても適しているんです。
EEPROMのいいところ(メリット)
EEPROMの主なメリットは、次の3つです。
- 電気で簡単に書き換えられる!
特別な装置は不要で、電気信号を送るだけで情報を書き換えたり消したりできます。 - 電源を切っても情報が消えない!
これが一番大きな特徴かもしれません。一度書き込んだ情報は、半永久的に保持されます。 - 信頼性が高い!
データの保持期間が長く、比較的多くの回数、書き換えが可能です。
EEPROMのちょっとだけ気をつけたいところ(デメリット)
一方で、EEPROMにもいくつか特徴があります。
- 書き換え回数には限りがある
何度も何度も書き換えすぎると、だんだん劣化して情報を保持できなくなってしまうことがあります。とはいえ、通常の使い方ではまず問題にならないくらい十分な回数、書き換えが可能です。 - 大容量の記憶には向かない
GB(ギガバイト)単位のような大きなデータを保存するのには向いていません。数KB(キロバイト)~数MB(メガバイト)程度の、比較的小さなデータを保存するのが得意です。
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まとめ:縁の下の力持ち、EEPROM!
EEPROMは、USBメモリやスマートフォンのストレージに使われている「フラッシュメモリ」の仲間でもあります。フラッシュメモリはEEPROMがさらに進化して、もっと大容量で高速にデータを扱えるようになったものです。
このように、EEPROMは私たちの日常生活ではあまり表に出ることはありませんが、テレビのリモコンや家電製品、車など、たくさんの身近な機器の中で、あなたの設定や大切な情報をしっかりと守ってくれています。
まさに「縁の下の力持ち」のような存在。次に家電の設定を変えるとき、あなたのそばで静かに働くEEPROMのことを、少し思い出してみてくださいね。