リップルノイズ測定のしくみ
~ パルス幅デューティ比較方式とは ~

はじめに
リップルノイズ測定や「パルス幅デューティ比較方式」と聞いて、「ちょっと難しそう」と感じる方も多いかもしれません。しかし、これはスイッチング電源の性能を評価する上で欠かせない技術であり、電源設計の現場やエンジニアリングの世界では非常に重要な役割を果たしています。この仕組みを簡単に解説していきましょう。
リップルノイズとは?
まず、「リップルノイズ」とは、スイッチング電源出力の直流電圧にわずかに含まれる周期的な波(これが「リップル」と呼ばれます)や、不規則なノイズを指します。
スイッチング電源は高効率ですが、その出力にはスイッチングによる「微小な揺らぎ」がどうしても紛れ込んでしまいます。そのため、機器の安定動作に影響を与えないかチェックする必要があるのです。
課題:リップルとノイズを分離するのが難しい!
リップルノイズ測定の難しいところは、これが単一の「信号」ではなく、「リップル」と「ノイズ」が混在していることです。それだけではなく、ノイズの種類は非常に多岐にわたります。そこで、ノイズとリップルを手軽に分離して数値化できないかという課題が登場します。
解決策:パルス幅デューティ比較方式
この課題を解決するために開発されたのが「パルス幅デューティ比較方式」です。この技術を使えば、リップルとノイズを分けて測定することが容易になります。
どうしてそれが可能?
この方式では、リップルノイズ波形の持つ「周期性(スイッチング周期)」を基準にして測定します。
- まず、測定対象の波形からスイッチング周期を自動検出します。
- 次に、その周期を全体の「100%」とし、その中で「リップル成分」と「ノイズ成分」を区別します。
- 最後に、リップル部分だけを抽出し、数値化します。
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具体例で考えてみよう
例えば、スイッチングノイズのパルス幅がスイッチング周期の「3%」だったとします。この場合、「パルス幅デューティ比較方式」では、リップル分離比を「3%」に設定することで、リップル成分だけをきれいに取り出すことが可能となるのです。
メリット | 解説 |
測定が簡単 | 従来のオシロスコープではリップル部分を「目視」で確認する必要がありました。この方式を用いれば、自動で数値化され、判定も容易です。 |
測定精度の向上 | リップル部分を細かく設定して数値化できるため、オシロスコープのような「読み取り個人差」が発生することはありません。 |
効率化 | 測定結果は数値化できるため、自動計測にも容易に対応できます。 |
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留意点
ただし、この測定方式を使う場合でも、「リファレンス(基準値)」を確立するために、オシロスコープでの目視確認結果との比較や調整が必要となることがあります。特に新しいD.U.T.の検査では、最初に測定結果の検証が必要となります。
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まとめ
「パルス幅デューティ比較方式」はリップルノイズ測定を効率化し、より信頼性の高いデータを提供する画期的な技術です。このような技術が進化することで、スイッチング電源の試験がよりスムーズになっています。
リップルノイズ測定の世界は、ちょっと難しく見えるかもしれませんが、意外と身近な技術も多いもの。ぜひ、こうした基礎を学び、電気回路や電源の仕組みに触れてみてください!
関連情報
RM-104
リップルノイズメータ
リップルノイズメータ製品情報 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/ripple/rm-104-2-2/