基礎講座「電波暗室について」

はじめに

新入社員の皆さん、入社おめでとうございます!今回はアンテナや電子機器の試験をするときに必要になる「電波暗室」について初心者向けの基礎講座です。ぜひ参考にしてください。

電波暗室とは?

電波暗室とは、電波を測定したり、電波の影響を調べたりするための特別な部屋です。この部屋は、外からの電波の影響を遮断し、また部屋の中で電波が反射しないように工夫されています。名前の「暗室」とは、カメラのフィルム用の暗室(光を防ぐ部屋)のように、外部から特定のものを遮る機能があることから来ています。

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電波暗室が使われる理由

日常生活の中では、携帯電話の通信、Wi-Fi、ラジオ、テレビなど、さまざまな場所で電波が使われています。どこでも電波は飛び交っていますが、これらが影響すると正確な測定や実験ができなくなります。
電波暗室は外部からの電波を完全に遮断し、さらに内部でも余計な反射や干渉を防ぐことで、電波がどのように動くのかを正確に測定できる環境を作り出します。

電波暗室の特徴

電波暗室には、次のような特徴があります。

  1. 外部の電波を遮断
    電波暗室の壁は、通常の部屋とは違い、金属などの導電性の素材が使われていて、外部からの電波をブロックします。これにより、外の影響を受けずに実験ができます。
  2. 電波の反射を防ぐ吸収体
    部屋の内壁には、ウレタンフォームなどで作られた特殊な「吸収体」(青色や黒色のツノのような形状のもの)がびっしりと貼られています。この吸収体が、部屋の中に発生した電波の反射を吸収し、電波が部屋の中で正確に測定できる環境を作るのです。
  3. シールド加工
    電波暗室の扉や配線部分も、電波が漏れたり入ったりしないように、特殊な構造で作られています。

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電波暗室を使う場面

電波暗室は、電波を利用する機械や装置の性能を評価するために使われます。身近な例として、以下のようなものがあります。

家電製品の検査テレビやスマートフォン、冷蔵庫などの製品がどれくらい電波を出しているかを調べたり、周囲の電波に影響されないかを評価します。
自動車の電波測定最近の車は、レーダーや無線通信を活用しているため、それらが正確に動作するかをチェックします。
アンテナの測定ラジオやテレビ、Wi-FiやGPS用のアンテナが、意図したとおりに電波を受信・送信できているかを確認します。
電波干渉の安全性確認他の装置が電波を出したときに、使っている製品が誤作動しないかを試験します。

例え話でイメージしよう!

電波暗室をもう少し分かりやすくイメージするために、音を例にします。

普通の部屋では、拍手をすると音が壁や天井に反射して「エコー」や「響き」が聞こえます。これと同じように、電波も普通の部屋では反射します。しかし、電波暗室では吸収体が音を吸収する「防音室」のような役割を果たすため、反射(=エコー)がなくなり、電波がどう動いているか正確に調べられるのです。

まとめ

  • 電波暗室は、電波の測定や試験を行うための特別な部屋。
  • 外部の電波を遮断し、内部での電波の反射を防ぐ仕組みがある。
  • 家電製品や自動車、通信機器の試験など、さまざまな場面で使われる。

電波の世界を正確に調べるための「静かな空間」と考えるとイメージしやすいですね!

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