電子負荷を使うときに気にしたいこと その2 – 表皮効果

前回(その1)では直流抵抗の問題について触れましたが、時間と共に電流が変化する場合は更に別の問題を気にしなければなりません。

直流的な捕らえ方では電流は導体の中を一様に流れますので、その抵抗値は断面積に反比例する事は前回お話した通りです。しかし交流の場合、電流はその周波数が高くなればなるほど導体表面に電流が集中する現象が発生します。この現象を「表皮効果」と呼びます。

太い単芯のケーブルや銅板で配線してあるから十分配線抵抗は小さくなるはずと思っていたら、実はその一部分しか電流経路として使用されず、実質断面積が小さくなり、想定より抵抗(交流抵抗)が高くなると言うことが発生します。

表皮効果の程度は電流の流れる深さ「表皮深さ」で表します。この深さが薄い程表皮効果が大きいと言う事になります。では例えば一般的な銅線に働く表皮効果はどの程度のものでしょうか?

「表皮深さ」はその導体の電気抵抗の2倍の2乗根に比例し、導体の絶対透磁率と電流の角速度(角周波数)の積の2乗根に反比例します。

一般的な銅線の場合の電気抵抗と絶対透磁率の設定にも因りますが一般に使用される銅の電気抵抗(導電率)58E6[S/m]と、透磁率4πE-7[H/m]を使用して計算すると、周波数が50/60Hzで10mm弱、1KHzで2mm強、1MHzにいたっては66μmと、本当にごく表面にしか電流が流れない事が解ります。高速に負荷電流を引くためにはこの表皮効果を如何に抑えるかが非常に重要な問題になる事が直感的にお解かり頂けると思います。

実は表皮効果は古くから知られており、対策として太い単芯線を使うのではなく、絶縁された細い複数の線を撚り合わせた線を使う事が行われてきました。代表格がリッツ線(Lits wire)です。中波ラジオのバーアンテナに巻かれていたコイルなどにも使われているので見たことの有る方も多いかもしれません。

下の図が単芯線とリッツ線の構造を単純に表した図になります。リッツ線は単芯線と断面積は同じでも表面積を増やすために線を分割した構造になっています。これにより電流が実際に流れる断面積を稼ぎ抵抗(交流抵抗)を下げる様になっています。

当社では、電子負荷装置用にリッツ線を0.5m~2mまで両端を処理した形で、Low-Lケーブルの名称で販売もしております。是非お問い合わせ下さい。

単芯線とリッツ線の構造