ChatGPTに聞いた!電気設計者が苦手で過小評価しがちな開発問題

以前の技術コラムで、「ChatGPTに聞いた!製品開発で想定を超えてしまう工程トップ5」という記事を書きましたが、今回は電気設計者が苦手で過小評価しがちな開発問題についてChatGPTに聞いてみました。

早速、回答を見ていきましょう。

1 電気設計だけでは分からないシステム全体の動作や制御

  • 背景: 電気設計に集中しすぎると、システム全体の目的や動作の全容を見落とすことがあります。又、機械、ソフトウェア、熱設計などの理解不足も背景にあります。
  • 問題点: ハードとソフトや機構との連携、その制御ロジックの理解不足による不適切な設計。

電気設計者の中には、電気回路がとにかく大好きで、アナログ回路やデジタル回路をこの上なく愛している方も少なくありません。そんな中、プロジェクトリーダーやシステム設計などを任されてしまい、面白くもないシステムブロック図や工程表、要件定義書などを見なければならず、苦悩している方もいらっしゃることでしょう。でも大丈夫です。一部のスーパーエンジニアを除けば、ほとんどの方が同じように感じていますから(笑)

2 熱設計と冷却問題の軽視

  • 背景: 電気回路は過熱により故障しやすくなる。設計時に十分な放熱や冷却考慮を怠ると、信頼性低下に直結します。
  • 過小評価しやすいポイント: 放熱設計や熱拡散の重要性。

電気設計者にとって熱設計問題は非常に厄介ですよね。私も色々と失敗を経験している一人です。以前のコラムでも書きましたが、やはり一番のポイントは、正確な熱損失データを元にした熱解析シミュレーションが事前にできるかどうかだと思います。便利なツールは最大限に活用しましょう。

3 電磁干渉(EMC)・電磁両立性の軽視

  • 背景:  高速回路やスイッチング電源などは、EMC対策が必要。これを軽視すると、外部へのノイズ放出や自身の回路の誤動作につながる。
  • ポイント: EMI対策や適切なシールド、グランド設計の重要性を過小評価。

これも以前のコラムで取り上げたことがありますが、私自身も過去に大きくハマった経験のある開発課題です。しかしながら、ビジネス展開、特に海外展開を考える上では避けて通れないテーマでもあります。
EMC対策は、試作製品として形になった後では取れる手段に限界があるため、やはり設計構想の段階でしっかりと検討しておくことが重要です。

長期信頼性・環境耐性の見落とし

  • 背景:製品の長期運用や過酷な環境(湿度、温度変動、振動)に耐える設計が疎かになること。
  • 問題点:短期の動作確認だけで、耐環境性や長期信頼性を軽視。

この問題で重要なポイントは、設計方針が明確になっているかどうかだと思います。例えば、耐久性10年といった基本的な設計基準や、メンテナンス部品をどのような基準で設定するかといった方針が必要になります。
おそらく各社、こうした品質保証基準は存在していると思いますが、設計者がその基準をしっかり理解し、具体的な設計に落とし込めているかどうか、さらには社内で評価基準が確立されているかなど、設計部門と品質保証部門が連携して解決すべき課題です。

生産性・コストの最適化の不足

  • 背景:高性能・高信頼性の設計が最優先になるあまり、コストや生産効率を考慮しないことがある。
  • 問題点:実用性やコスト競争力の犠牲になりやすい。

これはどうでしょうか。さすがに量産コストを意識しない電気回路設計者はいないと思いますが、確かにスペック重視でコストの高い部品を選定しがちな設計者はいるかもしれません。
当社では、新規採用部品については最低でも代替候補を3種類挙げ、入手性・コスト・性能などを比較検討した上で、不必要にコストのかかる部品を採用しないようにしています。

まとめ

電気設計者は、その専門性の高さから、電気回路の性能や信頼性については敏感だけれども、 システム全体のバランスや熱・EMC・長期耐久性・コスト・操作性などの側面を過小評価しやすい傾向があります。

対策としての心構え

  • 他分野(機構設計、制御、ソフトウェア、熱設計など)のエキスパートと連携すること
  • 実験・試験による検証を重視すること
  • 初期段階から信頼性・耐環境性・EMCを意識した設計を行うこと

以上がChatGPTの回答です。

熱設計、EMC問題については以前のコラムでも実体験をご紹介しましたが、こうして見ると実際に苦労されている方が多いのだと分かり、なんか妙に納得してしまいました。エンジニアの心構えまでアドバイスしてくれるChatGPTはとても頼りになる大先輩のような存在ですね。

執筆者:F.M